修理と映画。
昨夜、久々にレンタルビデオ屋さんへ行き、一本の映画を借りてきました。
以前にも観た事がある映画なんですが、ちょっと士気を上げるために観ておきたかった映画なんです。
何の「士気」かといいますと、これなんです。
NC旋盤の基盤修理なんですよ。
作業自体を言葉にすると「リレーの交換」という極めて単純な作業のような感じになりますが、コレが大変らしいんです。
ハンダで取り付けられているのでハンダを外すという作業をしなければいけません。
電気屋さんとかエンジニアとか電気を扱うプロの方なら難なくこなすであろう作業ですが、素人にはもの凄いテクのいる大仕事になる訳ですよ。
今回、ハンダど素人の私がやるというんですから、そりゃ士気も上げたくなりますわな。
そもそも何で私がやるのかと言うと、作業で基盤を壊したり、熱に弱いリレーを壊したりと、いろいろとリスクが高い作業だということで、機械メーカーにも電気屋さんにも断られたんですよ。
「じゃぁ自分でやるしかないじゃん。」ということです。
早朝、6時起床。
昨晩は、ジャンプのラージヒルで葛西選手がメダルを取れなかった事が残念でならず、早々に寝てしまったので早起きできました。
そんな早朝から、バイク小屋 兼 作業工房に閉じこもり、基盤からハンダを外す作業の練習です。
作業工程は、「YOU TUBE」で勉強しシュミレーションしています。
でも、「ハンダ付け」の作業はクルマいじり等でもやった経験はあるんですが、「ハンダ外し」なんかやった事ないわけですよ。
どうせならという事で道具を新調しました。
ハンダ小手、ハンダ吸取線、ハンダ吸引器
そこそこの出費・・・。
でも道具が増えることは うれしい事です。
今回、「ハンダ吸引器」という物を初めて知りました。
セットしてポンっで溶かしたハンダを吸引してくれるんです。
会社から持ち帰ってきた壊れていらない基盤からLEDなどを外す作業も割りと難なくできるようになりました。
「この感覚を忘れないうちに本番をやってしまえ!」
と思い立ち、休日であるにも係わらず職場の工場へ。
「まぁ、1時間ぐらいの作業っしょ。練習したし。」
と高を括っていました。
この後、負のスパイラルにハマっていくとも知らず・・・。
ところが、このリレー、足が四本なんですよ。
練習したLEDは足が二本だったので簡単だったんです。
これが四本になると、「天と地」ぐらい難易度が上がることを痛感しましたわ。
この四箇所のハンダを外すため悪戦苦闘、実に四時間もかかりました。
機械を起動確認してみました。
問題なし!修理完了!!休日終了!!
幸いにも機械メーカーの森精機さんは日曜サービスの電話対応をしてくれているので、何度も電話して作業のコツを聞いたりできたのが大きかったです。
あと、皆さんの暖かい応援と日頃真面目に練習をしてきた事が大きかったです、この金メダルは!
達成感が凄い!ピョンチャンか!
でも、昨夜観た映画の功績も大きいですよ。
その映画とは?
2008年の作品です。
とてもいい映画なんですよ。
では、簡単に あらすじを。
妻に先立たれた年老いた男、ウォルト。
彼は頑固で普段から憎まれ口ばかりを叩き、息子家族から敬遠されていた。
ウォルトは過去に朝鮮戦争に出兵し、何人も人殺した事を現在まで引きずっている。
そんなある日、隣の家に東洋人家族が引っ越してきた。
朝鮮戦争での経験で東洋人に偏見も抱いていたウォルトは、その家族とも係わらないつもりでたった独り、日々を過ごしていた。
その家族の中には、内気で気弱な少年タオがいた。
タオは、不良グループに脅され、仲間に引きずり込もれようとしていた。
不良達は「仲間に入れてやるから、ひとつ仕事をしろ。」と無理やりタオに仕事を押し付ける。
その仕事とは、ウォルトが大事に所有していたフォードの名車、1972年式「グラントリノ」をガレージから盗み出すことだった。
気弱なタオはガレージに侵入するも盗み出せず、ウォルトに見つかってしまう。
だがそれがきっかけとなってウォルトは、隣の東洋人家族と奇妙に心が通じ合い、親密な関係になっていく。
ウォルトは、相変わらず毒づくもののタオを可愛がり、男として必要な事を教えたり、仕事までも紹介していくまでになる。
そんな時、タオはウォルトのガレージの壁全面に掛けられていた工具類に興味を持つ。
ウォルトが50年かけて集めてきた男にとって必要で大切な工具類である。
「この工具があれば何だって直せるんだぜ。」
と自慢気に話し、家や水道など簡単に修理してしまうウォルト。
タオはそんなウォルトに憧れを抱きはじめていた。
ウォルトもまた、
「いつでも貸してやるぞ。」
自身の家族にも触らせなかったその大切な工具をタオだけには貸した。
いつしかウォルトにとってタオは、息子であり孫のような存在になっていたのかもしれない。
そんな中でも、不良グループはタオを仲間に引きずり込もうと 容赦なく近づいてくる。
ウォルトはついに頭にきて、不良グループの一人を締め上げる。
だがそこから不良グループの仕返しが始まってしまうのだ。
タオの家族に危害を加え始める不良グループ。
ウォルトは自分のした事に責任を感じ、命がけでタオの家族を助ける決心をする。
そしてウォルトはたった一人、不良グループの家へ向うのだった。
それは自らの過去とも決別する まさしく最後の「命懸け」の行動だった。
アメリカ人のクルマとの付き合い方、それを整備する工具の有り方、そしてガレージという空間。
クルマ好きの人にとってはとても興味が沸く作品になっています。
私はこの映画を観て、おととし亡くなった自身の父を思い出してなりません。
頑固でいつも憎まれ口を叩いているが、本当は優しく面倒見のいい父。
そして器用で何でも作ったり修理もした父。
久しぶりにこの映画を観て そんな思い出が蘇り、涙が止まらなくなりました。
私個人的に父親の価値って、物を作ったり修理できたりすることで大方決まるんじゃないかって思うところがあります。
何か壊れたら、即買い替え。
そんな時代ですが、もし修理ができる腕があって、
「ちょっと待ってろ。」
って言って自分の工具箱から工具を出してサッサッと修理してしまう。
そんな父親だったら素敵じゃないですか?
例え普段ダラダラ呑んだくれてても、いざという時頼りになる。
それだけでカッコいいって私は思います。
何かを修理する時、私はいつもこの映画を思い出すんです。
「グラントリノ」ってそんな映画なんですよ。
クリント・イーストウッド監督、ホントにいいところ突きますよね。
では。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
最近のコメント